時間のかかる膨大な手作業の末に完成した、渾身の一枚です。たった一本だった糸を、丹念に一目ひと目編み紡ぎ、息をのむ美しさの作品に仕上がりました。紡錘形のような模様――この編み模様は、日本ではパイナップル模様と呼ばれています。パイナップル模様はクロッシェレース（かぎ針で編むレース）の模様として昔から人気があり、パイナップル模様だけを集めたレシピ本も数多く出版されているほどです。流線的な編み模様のため、編地に動きが出て、美しく華やかな印象になります。フランスでは松かさ模様といい、肥沃や再生の象徴だったそうです。実際にパイナップル模様を施した別のドイリーをご覧いただいた年配のお客様も、「パイナップル模様、懐かしい！昔よく編んでいたのよ」とおっしゃっていました。パイナップル模様の魅力に惹かれる方、多いのではないでしょうか？じーっと見つめると、その編み目と、連鎖していく模様に引き込まれそうです。一度手にすれば、整然と並んだ気品のある模様に心を奪われることでしょう。サイズは平置きで縦：約67㎝ 横：約96㎝です。編み物の特性上、吊るすと伸張します。写真ではクリップ付きのフックを使用しましたが、S字フックを使用したり、編地の穴を縫うように棒を通しても使用できます。当初、オープンシェルフの目隠しにしようと思いカフェカーテンとして作成していましたが、商品撮影をしているうちにむくむくと妄想が膨らんできました。マルチカバーとしてしようしたり、ソファーやベッドのアクセントにしたりすると、とても素敵です。テーブルクロスとしてお使いいただいてもよいと思います。お花やガラス器との相性抜群です。小窓や出窓にこのカフェカーテンをかけ、夕日に照らされる姿は想像するだけでも絵になりますね。フレンチアンティーク雑貨などとの相性が非常に良いので、もしお持ちの方がいらっしゃったらペアリングして楽しんでください。糸は植物素材として代表的なコットン（綿）を使用しています。サラリとした触り心地で、季節問わずお使いいただけます。糸の太さはだいたい1㎜くらいですが、レース編みで使用される糸の中では太めの糸です。フレンチアンティークのクロッシェのような風合いを目指しているので、糊付けはしていません。色も真っ白ではなく、あえて温もりを感じられるアイボリーを選んでいます。どんなテイストにもなじむシンプルな色ですが、特に木製のテーブルやラタンのカゴ、観葉植物、ドライフラワーなど、自然素材のアイテムとは好相性。レースの華やかさを持ちながら生活になじむのでこの糸を選びました。アンティークショップや蚤の市で見かけるクロッシェレース。販売されているものはもちろん、ディスプレイとして使用されているものも多く見てきました。その1枚1枚、ひとつとして同じものはありません。糸の種類、色、技法。さまざまな要素を組み合わせ、世界にひとつしかないレースがわたしの手のひらにのっている。これを編んだのは手の込んだ作業が好きなおばあちゃんだろうか。こっちはまだ編み物を始めたばかりの人が編んだのかな。緻密な模様に思わず唸ってしまうような逸品もたくさんあります。わたしも、だれかの心を動かすようなレースを編みたいと思い、これまでいくつものレースを編んできました。丹精込めた作品ですので、ぜひお手に取っていただけると嬉しいです。