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先日、「銘」に関してご質問を頂戴しありがとうございました。改めて自分の書いた説明を読み返してみました。お気に入り弓のため書き方が主観的になりすぎていたため、読んで頂く方により正確・的確にお伝えできるよう書き直してみます。お忙しいところ恐縮ですが、今一度目を通していただけると幸いです。

数年前に購入し暫くメインボウでしたが、ここ半年ほど手に取る機会がめっきり減ってしまいました。
性能もさることながら風格あるルックスに愛着がありコレクションとしておくつもりでしたが、メイン楽器との相性においてほかの弓に道を譲ることになりました。

タイトルをご覧いただいて、「本物なの？」という点がどうしても気になるところと思いますのでその点からまず書かせていただきます。結論から申し上げますと、いわゆる本物＝真作と思っています。『銘が明らかに本物ではないでしょう』とのご指摘があり、確かにサルトリーですとネット情報だけでもかなりの数の写真を見出すことができますので見比べてみると(そもそも当弓の銘はかなり薄くなっている為、写真でお伝えするには限界があるのですが)、あいにくずばりそのものという銘は見つけることができませんでした。(そっくりなのがどこかに隠れていないかな…と願ったのですが(笑))

ただ、贋作ほど銘などを本物に似せている、という裏事情もあるようです。’名札’をしっかり作っておかないと惑わせないですから。
私も過去、イミテーション・贋作にやられたことがあります(汗)。弓の銘などいくらでも本物そっくりに作ることはできますので、真作らしくみせるには手っ取り早いのです。ヒントにはなりえますが、銘のみで判断することは非常に危険です。
もっと言えば、銘がないもの・あるいはまったく名の知られていない作者の良い弓・楽器を求めた方がよきものにあたる可能性は膨らむと信じています。自分自身、いろいろ騙された(※自業自得、騙された自分にも責任あると反省しつつ…)経験からの教訓です。

ですので、この弓を検討される方がもしいらっしゃれば、「サルトリーぽいから」「出品者がサルトリーと思う」と言っているからでなく、写真をご覧になり、材料・製作精度・雰囲気・オーラ・経年(修復痕)といったものを感じ取って頂きつつ、所有者の述べる弾き心地などの所見を踏まえてご購入をお考えになって頂きたいのです。
弓＝モノ ではなく、弓＝モノ＋ヒト(所有者)
と見ていただきたい、というのが出品者としての願いです。こういう受渡しができればWin=Winだと思います。たとえば私自身、これまで数多くの楽器店にお世話になりましたが、結局のところ楽器を買っているというより、店員さんとの信頼関係を求めている、と感じる節がありました。素晴らしいスタッフがいらっしゃる店舗にはよい楽器があります。
ですので、私の述べることなども薄っぺらいことを書いている、と見切って頂ければと思います。あるいは多少なりとも共鳴していただける節があれば、ネット経由ではありますがご自身にとって必要な弓に近づかれている可能性が高いと思います。

かなり脱線してしまいましたが、この弓についての所見をできるだけ手短に。
◆材料・製作精度たとえばいわゆる安価といわれるブラジルウッド製の弓などにも銘弓は存在しており、ペルナン製＝銘弓ということはないですが、この弓の材料のよさは写真からいくらか感じ取って頂けるものと思います。強い中に良いしなりをもっており、弓毛を強く張らずとも弓がつぶれず、かつ弓毛が弓身に当たるか当たらないかのところまで弓がしなってくれる感触を楽しむことができます。強い材料が使われ、首元が特に細身でヘッドもやや高めの為、ソリスティックな弾き心地というのでしょうか、手・指・腕の操作がよりダイレクトに伝わる、遊びが少ない操作性を持つように感じます。少し太めだったり、どっしりとした遊びのある弓、という印象の弓をお探しの方には向かないかもしれません。
バランスも抜群です。この点は操作性において最重要事項の一つでしょう。
◆雰囲気・経年「この弓に消えかけた’E SARTORY A PARIS’の銘があるため、サルトリーだ。」と判断することはできませんが、材料・製作精度等から良い弓だ、と感触を得て、さらに作者の特徴がよく表れるとされるヘッド部分を見てみると…。
・ヴォアラン・ラミー・サルトリー
といった作者の特徴が多少なりとも見て取れます。たとえばこれがイミテーションであるとしても非常によく模倣されていると言えるでしょう。しかも、弾き心地もよい。
となれば、真贋は正直二の次です。順序としては、もともとバイオリンでよい音を出したい、という思いからはじまっているのですから。よい音を出す楽器、弓を製作する高みに到達してゆく中で、その名が知られるようになった………。
是が非でも真贋にこだわるのであれば鑑定書付きが必要かもしれませんが、性能・音色が第一であればこの弓は良い選択と信じています。鑑定書付きだと値段が何倍にもなったり、桁が違ったりということもありますが、必ずしも弾き心地にそれだけの差が出る、ということではありませんから。

弓・楽器ともに価値ある楽器の中に大修理を施してあるものを見てきました。それほど価値が認められない楽器に対して大掛かりな修復はしようと思わないかもしれない。この弓の見事な継ぎ修復は、前の所有者の並々ならぬ愛着を感じさせます。恐らくですが、ヘッドのシャンファー部分が削られているのも重量を減らそうとしたのか、この継ぎを施した際に理由があって行われたのでしょうか。
私自身、stamped・鑑定書なし、修復歴あり、ということでそれに見合った金額にて入手したものです。
SARTORYにしては安すぎ、訳ありでは？？といぶかられるのも当然だと思います。間違いなく、贋作だよね、と。
そのように仰られれば否定をすることはできません。長々と書いてきましたが、真作と断定することはできません。 ですが、様々な観点から、明らかな「贋作」と言いきることはもっと難しいのです……。 「銘」があるからサルトリー…でなく、弾いてみてから「あ、もしかしたらこの銘、本物かも！」と思ったのでした。
鑑定士を名乗るものではありませんが、これまで玉石混交それなりの本数の弓に接してきた一バイオリン弾きとして、以上のとおり当弓をご紹介させていただきます。ご検討の一助となれば幸いです。
大まかな内容のみで長文となってしまったため、詳細についてあまり書けていませんので、弓の
■長さ 約74.5㌢（ボタン含）■重さ 約57.4㌘


★毛替えについて

先の出品時にご質問いただきありがとうございました。
毛替えについて書いておりませんでした。
希望される方は落札後お知らせ下さいませ。追加料金無しで対応させていただきます。
もちろん毛替えなしでも弾ける毛替えをさせていただく場合、発送まで一週間程度お日にちを頂戴します。ご了承くださいませ。



◆試奏動画を撮ってみました
参考になさっていただけると幸いです。

https://youtu.be/gZSFphObiyo

https://youtu.be/ma8mf8dMDCo


■返品について
この弓はすぐに弾ける 試奏無しでの受け渡しの為、受け取られてどうしても自分に合わないという場合は 到着後2日以内にご連絡いただき発送時と同じ
※返品は当事者同士で行わなければならず双方にとって大きな負担となり、落札価格から10%はヤフオク側に